「驚異のダーツ“ロボ” 浅田斉吾」

本日、2017年3月7日のNHK「グッと!スポーツ」にてダーツが取り上げられ、ダーツプロプレイヤーとして「浅田斉吾」プロが出演する予定です。今回は、「浅田斉吾」プロ、および「ダーツプロ」について興味を持った方むけに解説記事を書いてみたいと思います。
目次(クリックでとびます)
浅田斉吾プロについて

浅田斉吾プロは年齢36歳、ダーツ歴は11年。それにもかかわらず、プロ歴は10年。つまり、ダーツを初めて1年でプロになった才能の持ち主です。さらにはそのプロ1年目にプロツアー大会での初優勝もしています。
ダーツプロ団体「PERFECT」の看板プロ
浅田斉吾プロはダーツプロ団体が発足した2006年以来、プロの上位には常にいましたが、その中でも目立って頭角を現してきたのはここ5年でしょうか。所属リーグの年間ランキングを見てみましょう。
年度 | 所属団体 | 年間ランキング |
2007年 | PERFECT | 年間ランキング8位 |
2008年 | PERFECT | 年間ランキング11位 |
2009年 | PERFECT | 年間ランキング4位 |
2010年 | PERFECT | 年間ランキング9位 |
2011年 | PERFECT | 年間ランキング11位 |
2012年 | PERFECT | 年間ランキング3位 |
2013年 | PERFECT | 年間ランキング2位 |
2014年 | PERFECT | 年間ランキング2位 |
2015年 | PERFECT | 年間ランキング1位 |
2016年 | PERFECT | 年間ランキング1位 |
2017年 | PERFECT | 暫定ランキング1位 |
ご覧の通り、徐々に順位を上げていき、2015年に年間ランキング1位を取ったのを皮切りに、2016年も1位。本年度も開幕戦、第2回と連続優勝をし、暫定1位になっています。
所属団体の「PERFECT」では年間におよそ20回ほどの大会が行われるのですが、2015年、2016年ともに開催の半分を優勝し、ぶっちぎりのランキング1位になっています。1回の開催で200~400人ほどのプロが争う大会で50%の優勝確率といえば、どれほどのものかわかると思います。
現在日本ダーツ界最強の男

上の項目で「所属団体」と書きました。そう、日本のダーツプロの団体というのは2つ存在し、「JAPAN(以下J)」と「PERFECT(以下P)」という団体があります。浅田プロは「PERFECT」の選手です。
2つの団体のレベルはトップ層はほぼ変わりなく、最上位層はPのほうが上とも言われています。その中でぶっちぎりのランキング1位で、成績を表す数字なども1位を独占しているので、2団体があるとはいえ、実質的に「日本最強」と言ってかまわないでしょう。
上の画像のように、海外での大きな大会にも出場をしています。
ダーツでの稼ぎ
日本においてのダーツは正直いってしまえば「マイナースポーツ」の部類と言って良いかもしれませんが、その中ではトップ層の稼ぎはなかなかのものです。浅田プロは2015,16ともに賞金だけで2000万円近くを稼ぎ出しています。
さらにはスポンサーとの契約料や、それに応じた勝利ボーナス、そして自分モデルのダーツや出演DVDの販売による印税収入、各種ダーツバーなどへのイベント出演料がありますので、賞金と同額近くは副収入があるようです。
世界への挑戦

日本だけでは収まらない実力の浅田プロは、世界へも活躍の場を求めています。日本での活躍が生活の基盤ともなるため、長期間の移住などは出来ていませんが、アジア近辺の大会などには頻繁に出場し、ダーツの本場イギリスにも遠征をしています。
日本のダーツは世界のレベルから見ればまだ水準は低く、浅田プロでも満足な結果を出せてはいませんが、ぜひ活躍をして海外に日本ダーツあり、というのを示してほしいですね。
「スーパーダーツ」への期待
実は今月の22,23日に、「スーパーダーツ2017」という、日本で行われる一番大きい大会が開催され、浅田プロは大会出場を決めています。
SUPER DARTS 2017 ~Make a HERO~ | DARTSLIVE #dartslive
2日間のトーナメント制で、優勝賞金はなんと1,000万円!海外からも世界トップクラス選手が参加するため、どこまで行けるかはわかりませんが、ぜひ世界最強の座を勝ち取って欲しいです。チャンスは少なくはないと思います。
浅田斉吾プロについて更に専門的な情報は以下の記事にまとめています。
ダーツの「プロ」について
続いて、番組を見て興味を持った方も多いと思われますが、ダーツの「プロ」について解説をしていきたいと思います。
ソフトダーツとハードダーツ
日本で人気なのは、みなさんがダーツバーやゲームセンター、ネットカフェ等で投げたこともある、おなじみのこのような「ソフトダーツ」です。プロリーグもこのダーツ筐体を使ってプレイします。

それに対し、海外で主流なのは、いわゆる「ハードダーツ」といい、映画の小道具で酒場の壁にかかっているような、昔ながらのこういうダーツボードで試合をするものです。

なにが「ソフト」でなにが「ハード」いえば、先端の針の素材のことで、電子ダーツではダーツの先端の針はプラスチックで出来ていて、ボードにハマるようになっています。それに対し昔ながらのダーツはまさに鉄の針で、ボードに突き刺さるようになっています。
ですので、針が柔らかい「ソフト」ダーツという言葉が先にできて、それに対して本来のダーツは「ハードダーツ」と呼ばれるようになりました。
日本と海外

海外…とくに本場はイギリスですが、主流なのはハードダーツで、1つの大会の賞金が何千万円もかかっているようなものが行われています。世界中からダーツのトッププレイヤーが集まる「PDC」というプロ団体があり、野球で言えばメジャーリーグと言ったところでしょう。
日本ではハードダーツはまだまだ馴染みが薄く、ソフトダーツがダーツの主流です。プロ団体もすべて、ソフトダーツのプロ団体となっています。デジタルゲームが好きなお国柄も関係あるかもしれません。
プロ団体の歴史
日本における、賞金トーナメントを行うダーツのプロというのは歴史が浅く、2団体のうち、パイオニアの立場であるPERFECTも2006年発足、もう一つのJAPANに至っては2012年発足と、まだ10年ほどの歴史しかありません。
しかしダーツが徐々に普及していく中でプロ団体も活動を広げ、現在はメジャースポーツを目指している立場というところです。個人的にはeSportsの立ち位置が近いような気もします。
プロツアー・賞金トーナメントの仕組み
2017年から「PERFECT」は大会の制度を大改革し、年間の試合数も倍近くになってしまったのですが、それを書くとややこしいので2016年までの制度でお話します。
両団体もほぼ同じような仕組みで、だいたい年に20大会ほどプロの試合が日本各地で開催され、プロはそこを全国回ったり、地元の開催の時だけ出場したりと、好きなように大会に出ることが出来ます。
大会は施設使用料としての参加費用が1回の大会で1万円から2万円、優勝賞金は大会の規模によりますが80-100万円ほどです。そして順位によりポイントが付き、年間のランキングを争い、年間ランキングにより1位であれば300-500万円ほどのランキング賞金が入ります。
さきほど浅田斉吾プロの解説で、賞金が年間2000万円と書きましたが、これはぶっちぎり優勝のためのある意味例外で、基本的には優勝5回程度がランキング1位のラインで、ランキング1位の賞金総額は1000万円くらい、というのが浅田斉吾プロ以前の相場でした。
ダーツと他のプロスポーツとの収入の違い
ダーツは個人競技なので、プロとしての稼ぎやスポンサー契約などは、テニス、ゴルフ、ボクシングのようなスポーツに似た形態となり、契約形態は様々です。ただ、それらのスポーツと同じように、競技一本で食べていける選手というのは上位の一握りで、基本的にはダーツバーやダーツメーカーの社員など、関連業界での仕事を持っている人がほとんどです。
ダーツは選手寿命が長い
重要なのは、ダーツは選手寿命が他のスポーツと比べて格段に長いこと。例えば現状ソフトダーツ最強と言えるような「ポール・リム」というプロはなんと63歳ですし、浅田斉吾プロも20代後半からダーツを始め、34歳で日本最強というレベルに達しました。
ダーツは怪我でダメになる、ということも少ないし、年齢での衰えも緩やかな競技ですので、トップクラスに上り詰め、維持していけば、そこから10年20年と(ダーツが廃れなければ)賞金を稼ぎ続けられる競技です。
そしてこれにより、「始めるのにはもう遅い」という年齢がほぼ無いと言っていいのも魅力です。3m弱先のボードに20g程度の矢を投げ込むという競技のため、筋力も必要ないため、40歳から、50歳から始めてもプロを目指すことができるし、場合によってはトップ級のプレイヤーになれるかもしれません。
サッカーや野球などで日本代表になろうと思えば、中学生の時点でもう「始めるには遅い」となるわけですが、ダーツであれば何歳からはじめても、日本代表や、世界で活躍をできる可能性がある、というのはかなりの魅力でしょう。私も30半ばですが、今年プロライセンスを取得しました。
ダーツは精度の競技
ダーツというのは筋力などはほぼいらない競技です。例えばゴルフで我々素人が300ヤード飛ばせと言われたり、野球で140キロの球を投げろと言われれば、何年も賭けて練習し、筋トレをしなければ物理的に出来ないでしょう。
しかし、ダーツは、初心者でも「物理的には」トッププロと同じことが出来ます。初めてダーツをやったその日にでも、ハットトリック(真ん中に3本を命中させること)を出してしまう人も少なくありません。ただし、トッププロとあなたの違いは、それを90%以上の確率でできるか、1日じゅう投げて偶然1回出るかという部分です。
それだけに夢があるとも言えるし、逆に言えばシビアであるともいえます。
ダーツプロになる方法
競技がまだ普及期ということもあり、プロライセンスを取得するのはそれほど難しくはありません。個人的によく例えるのは柔道の黒帯や、ボクシングのC級ライセンスでしょうか。初心者から見たらものすごく上級者と思えるけど、落とすための試験ではないということもあり、真面目にやっていれば1年2年で取れるものです。
具体的なライセンス取得方法は、どちらかのダーツ団体で定期的に行われているプロテストに合格すればライセンスを付与されます。ただし、ライセンスを得ただけでは収入を得ることは出来ません。むしろライセンス維持費がかかるだけで赤字でしょう。
プロライセンスはあくまで「賞金トーナメントに出場できる権利」くらいではありますが、ある程度趣味をやりこんだ人の勲章、というような意味でライセンスを取得する方も多くいます。
もっと細かいプロテストに関する記事は、以下にまとめています。
ダーツプロの年間賞金は2000万円?プロになる方法・賞金・年収を調べてみた!
生涯スポーツとしてのダーツ
プロとしての真剣にやり込むダーツと言うだけではなく、近年では生涯スポーツとして、小さい子供や、高齢の方向けにダーツが取り上げられています。

- 屋内で遊べるので天候が関係ない
- 点数計算で四則計算をするので子供の知育や高齢者の認知症予防に
- 激しい運動ではないので怪我をしたりする恐れが低い
- ダーツを投げて、ボードに抜きに行くという動作で軽度の運動、歩行
- 勝負によるコミュニケーション
などが理由になっているようです。
ぜひダーツをやってみよう

かつては薄暗いダーツバーのようなところで常連に混じってダーツをする、というダーツスポットがほとんどでしたが、近年では明るいゲームセンターや、漫画喫茶でダーツが設置している場所が増えています。
知り合いにダーツをしたことある人がいれば連れて行ってもらってもいいし、いなければ店員さんに聞いてもいいと思います。
上にも書きましたが、ダーツは筋力などがいらない競技ですので、どんな体型の、どんな年齢の人にでも才能が埋まっている可能性があります。もしかすると5年後、あなたが第2の浅田斉吾になる腕の持ち主かもしれません!
ダーツのルール
ダーツのルールは番組で解説が合ったかと思いますが、詳しく知りたい方は以下の動画や、本を読んでみてください。
・カウントアップ
・ゼロワン
・クリケット
この3つのゲームのルールだけ把握していれば事足りると思います。ダーツライブ社の公式ページが丁寧な解説でおすすめですので、以下がリンクです↓。
ダーツ入門書籍
ダーツの基礎についてはネットの情報でも事足りると思いますが、書籍の形にまとまっているのが好きな人もいると思いますので、おすすめの2冊をご紹介しておきます。
マイダーツについて
ダーツを真剣にやろうとするのであれば、どうしてもマイダーツは必須となってきます。ボーリングのマイボールなどとちがい、かさばらずにバッグの片隅に入れておけるものですので、ぜひ早い段階で購入することをおすすめします。マイダーツ選びについては以下の記事に詳しく書きました。
「初心者向けダーツセット」はどれが本当におすすめなのか?比較しました!
自宅でのダーツについて
このサイトの名前で気づいた方もいるかもしれませんが、近年、ダーツは自宅で手軽に楽しめるようになっています。本サイトは家でダーツを遊ぶことをおすすめして、家庭用ダーツボードの紹介などもしていますので、各種記事など、よければトップページからお読みになっていただければありがたいです。